幼い子どもと一緒に飛行機で旅行――。この夏、そんな計画を立てている人も多いだろう。気圧や湿度、気流による揺れ……。飛行機内は地上と環境が異なる。健康面で気をつけることは? 専門家に聞いた。
訪ねたのは、東京都の日本航空(JAL)。乗務員の健康管理を担当し、機内の健康トラブルについて執筆活動もするサトウ菜保子さんによると、機内の環境の特徴には、①低酸素・低湿度②気圧の変化③揺れ④限られた空間――などが挙げられる。
機内は0.8気圧で、湿度は20%程度。空気中の酸素濃度は富士山の5合目程度に相当し、乾燥しているという。心臓の病気や、ぜんそくなどの持病、重い貧血がある場合は、旅行前にかかりつけ医に相談しておきたい。
気圧の変化の影響でよくみられるのが、耳の詰まりや痛みだ。耳の鼓膜の奥にある空気が、気圧の変化で膨張したり収縮したりすることで生じる。
飛行機の上昇・下降のタイミングで、ミルクやジュースを飲ませるのが有効だ。飲み込む動作で、耳管の開放が促されるため、「耳抜き」がしやすくなる。
「通常は耳の詰まりや痛みは、数分から数時間以内に治りますが、風邪をひいていたり、鼻炎があったりすると、空気が通りづらくなり、航空性中耳炎まで進んでしまうこともあります。搭乗前に風邪や鼻炎を治療しておくことが重要です」とサトウさんは話す。
耳の症状だけでなく、おなかが張ったり腹痛を起こしたり、歯が痛くなったりすることもある。同社の産業医、原順子医師は「胃腸の中の空気、虫歯や処置中の歯の中に含まれている空気が膨張・収縮することで起きる。おなかを締めつける衣類を避け、虫歯は早めに治療しておくことが大切です」と語る。
機内は細かな揺れが常にあり、ときに大きく揺れることもある。
乗り物酔いしやすい子どもは、搭乗する1時間前に酔い止めの薬をのむとよい。空腹や食べ過ぎにも気をつける。定点を見つめていると酔いやすいため、とくに揺れが大きいときには、ゲームや動画は中断する。
中央付近の座席が比較的揺れ…